KVMでのバーチャルマシンの作成からOSインストールまでの手順を説明しています。
RHEL 6, CentOS6, ubuntu 10.10, 11.04については、こちらをご覧ください。
[詳細]
前回はホストのインストールについて説明しました。引き続き、今回は、バーチャルマシンの作成から、OSのインストールについて説明します。
KVMで仮想化環境を管理する方法、ツールはいくつもありますが、入門編ではディストリビューションに添付されているVirtual Machine Manager(virt-manager, VMM)を使ってバーチャルマシンの作成、管理を行います。
"virt-manager"はRed Hat社が中心になって開発している仮想化環境の管理ツールのひとつで、Xen, Qemu(KVM含む)の複数の仮想化環境を一括して管理することが出来ます。
また、VMMをサポートするユーティリティには、"Virt Install","Virt Clone","Virtual Machine Viewer"などがあります。これらについては、基礎編で扱いたいと思います。
- virt-managerの起動
virt-managerの起動は、ターミナルでvirt-managerと入力するか、メニューバーから"仮想マシンマネージャー"を選択して行います。
- virt-managerへのホストの追加
起動直後のvirt-managerには、1台もホストが登録されいません。そこで自身のサーバをvirt-managerに登録します。
- バーチャルマシンの作成
よいよバーチャルマシンの作成を行います。作成はウィザードを使って簡単に行うことが出来ます。
- ウィザードの起動
作成した接続を選択し、右クリックで"新規"を選択するか右下にある"新規"のボタンを押すと、ウィザードが起動し手順の説明画面が表示されます。
説明画面の"進む"を押して、バーチャルマシンの設定を開始します。
- バーチャルマシン名の入力
バーチャルマシン名は、ホスト上で一意である必要がありますが、ゲストOSのマシン名とは必ずしも一致させる必要はありません。
- 仮想化方式の決定
仮想化の方式を決定します。
RHEL5.4で提供されているKVMの環境では完全仮想化(Fully virtulized)のみ選択出来ます。
CPUアーキテクチャーは、"x86_64" (64bit), "i686" (32bit)のどちらかを選択します。
ハイパーバイザーは、"KVM"を選択してください。
- インストール方法の選択
ここでは、インストール元と、OSについての選択を行います。
"OSタイプ"では次の中から選択します。
"Linux", "Windows", "Solaris", "UNIX", "Other","Generic"
UNIXには"Free BSD"と"Open BSD"、Otherには"MS-DOS"と"Netware"が登録されています。
OSの種別はそれぞれOSタイプについて、バージョンやディストリビューションを選択します。
インストール元は、下記の3つの中から選びます。
- ローカルインストールのメディア
ホストに接続しているCD/DVDドライブ、もしくはOSのISOイメージからインストールするときに選択します。 - ネットワークのインストールツリー
ネットワーク上にある展開されたインストールイメージ(インストールツリー)を使ってインストールを行う場合に選択します。ただし、ネットワークインストールに対応したOSである必要があります。なお、ネットワーク・プロトコルは、http/https, ftp, nfsが使用できます。 - ネットワークブート
PXE (Preboot eXecution Environment)ブートを利用して、OSのインストールもしくは、バーチャルマシンのディスクレスでの運用を行います。
- ローカルインストールのメディア
- インストール・メディア/インストール・ソースの指定
"ローカルインストールのメディア"の場合は、インストール・メディアを、"ネットワークのインストールツリー"の場合は、インストール・ソースを指定します。なお、PXEブートはネットワーク上からブートイメージをダウンロードするので、メディアやソースを指定する項目はありません。
- ローカルインストールのメディアの場合
さらに、メディアを下記のどちらかから選択します。
- ISOイメージ
OSのインストール媒体のISOイメージのパスを指定します。 - CD-ROM/DVDデバイス
CD-ROM/DVDなどの光学デバイスのパス指定を指定します。(e.g. /dev/cdrom, /dev/hdc)
- ISOイメージ
- ネットワークのインストールツリーの場合
3つのパラメータを設定する項目があります。それぞれ、次の内容を登録します。
インストール メディア URL (必須)
- NFS
nfs:サーバ名:インストールツリーのパス
(ex.) nfs:imgsv/exports/CentOS5.2x64 - http,https/ftp
プロトコル:サーバ名//インストールツリーのパス
(ex.) http://imagesv/exports/CentOS5.2x64, ftp://imagesv/exports/CentOS5.2x64
- NFS
- キックスタート URL (オプション)
RedHat系のインストール自動化機能であるキックスタートを使用してインストールする際には、ここに設定ファイルのURLを指定します。
- カーネルパラメータ (オプション)
メモリサイズやインストールモードの指定など、インストーラのカーネルが使用するパラメータを指定します。
- ローカルインストールのメディアの場合
- ストレージの設定
バーチャルマシンをインストールする仮想ディスクを指定します。
ホストマシンのデバイスを直接使用する場合には、"Block Device(partitoin)"を、バーチャル・ディスクを使用する場合には"File (disk image)"を選択します。
"File (disk image)"を選択した場合には、あわせてバーチャル・ディスクのサイズと、作成するディスクを指定サイズ分を一度に確保するか否かの選択を行います。
なお、"一度に確保しない"を選ぶと、バーチャルマシン上でディスクが不足したときに、適宜ディスクを確保しますので、ディスクを節約することが出来ます。この機能は一般的にシン・プロビジョニングと呼ばれています。
- ネットワークの設定
使用するネットワークを指定します。VMMではデフォルトで仮想ネットワークを1つ作成します。このネットワークはNATとして機能しています。バーチャルマシンはこのネットワーク経由して外部のネットワークと通信することが出来ます。なお、"仮想ネットワーク"の追加、"共有物理装置"については基礎編で説明しますのでここでは割愛します。"default"の仮想ネットワークを選択してください。
MACアドレスを手動で設定する場合には"Set fixed MAC address..."をチェックし、MACアドレスを入力してください。 - メモリとCPUの設定
バーチャルマシンのメモリの容量とCPUの数を指定します。
メモリの容量は、バーチャルマシン起動時に確保する容量と、最大で確保される容量(これはゲストOSから認識されるメモリ容量)を指定する項目がありますが、KVMの場合、起動時から最大容量が確保されます。
また、CPUの数は最大で16まで指定可能ですが、パフォーマンスの観点から論理ホストのCPUの数を超えない数にすることをお勧めします。
- 構成の確認
設定した構成の確認を行い誤りがなければ"完了"を押してください。バーチャルマシンの作成が開始されます。
- ウィザードの起動
- コンソールの起動
バーチャルマシンの作成が終わると、コンソールが自動で起動し、OSインストール画面が表示されます。
以後は、通常のPCへのOSインストールするときと同じように、作業してください。
インストール終了後は、このコンソールから通常のPCと同じように利用できます。 - virt-manager上での確認
virt-managerで、作成したバーチャルマシンが動作していることを確認します。
"localhost"の下にバーチャルマシンが表示されていることを確認します。
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