金曜日, 10月 30, 2009

RHEL, CentOS でのiSCSIイニシエーターの設定

[概要]
Red Hat EL (RHEL) 5.xとCentOS 5.xを使用したiSCSIのイニシエーターとして使用する際の設定を説明しています。

[詳細]
RHEL 5.xとCentOS 5.xには、iSCSI イニシエーターのパッケージiscsi-initiator-utilsが添付されています。このパッケージはLinuxでのiSCSIのソフトウェア・イニシエータの機能を提供します。既出のiSCSIターゲットの構築とあわせて、iSCSIネットワークの構築に手順を記載していきます。
  1. パッケージのインストール
    iscsi-initiator-utilsパッケージをインストールします。
    rpm -Uvh マウントポイント/ClusterStorage/iscsi-initiator-utils*.rpm

  2. 設定ファイルの編集
    "/etc/iscsi/iscsid.conf"の下記の部分を編集します。赤字の場所はターゲットで設定されている値を指定します。
    node.session.auth.username = foo
    node.session.auth.password = bar
    discovery.sendtargets.auth.username = foo
    discovery.sendtargets.auth.password = bar

  3. サービスの起動
    iscsi イニシエーターのサービスを起動します。
    "iSCSI ターゲットを設定中"に"No records found!"と表示されますが、まだ、ターゲットを登録していないので、正常なメッセージです。
    [root@lin01 ~]# service iscsi start
    iscsid は停止しています
    Turning off network shutdown. Starting iSCSI daemon: [ OK ]
    [ OK ]
    iSCSI ターゲットを設定中: iscsiadm: No records found!
    [ OK ]

  4. ターゲットの登録
    iSCSIのターゲットを登録します。赤字のIPアドレスにiSCSIのターゲットのIPアドレスを指定してください。その後、iscsi イニシエーターのサービスを再起動します。
    今回は、"iSCSI ターゲットを設定中"の後に接続したターゲットが表示されるはずです。
    [root@lin01 ~]# iscsiadm -m discovery -t sendtargets -p 192.168.1.3
    192.168.1.3:3260,1 qn.2001-04.com.jp-lin03-sdb:tgtd
    192.168.1.3:3260,1 qn.2001-04.com.jp-lin03-file:tgtd

    [root@lin01 ~]# service iscsi restart
    Stopping iSCSI daemon:
    iscsid が停止していますが PID ファイルが残っています [ OK ]
    Turning off network shutdown. Starting iSCSI daemon: [ OK ]
    [ OK ]
    iSCSI ターゲットを設定中: Logging in to [iface: default, target: iqn.2007-04.com.jp-lin03:tgtd, portal: 192.168.1.3,3260]
    Login to [iface: default, target: iqn.2007-04.com.jp-lin03:tgtd, portal: 192.168.1.3,3260]: successful
    [ OK ]

  5. デバイスの確認
    dmsageコマンドや"/proc/partitions"で、デバイスが登録されたことを確認します。
    下の出力例では、"/dev/sdf,/dev/sdg,/dev/sdh"として、登録されています。
    [root@lin01 ~]# dmsage
    scsi4 : iSCSI Initiator over TCP/IP
    scsi5 : iSCSI Initiator over TCP/IP
    Vendor: IET Model: Controller Rev: 0001
    Type: RAID ANSI SCSI revision: 05
    scsi 4:0:0:0: Attached scsi generic sg4 type 12
    Vendor: IET Model: VIRTUAL-DISK Rev: 0001
    Type: Direct-Access ANSI SCSI revision: 05
    SCSI device sdf: 58605057 512-byte hdwr sectors (30006 MB)
    sdf: Write Protect is off
    sdf: Mode Sense: 79 00 00 08
    SCSI device sdf: drive cache: write back
    SCSI device sdf: 58605057 512-byte hdwr sectors (30006 MB)
    sdf: Write Protect is off
    sdf: Mode Sense: 79 00 00 08
    SCSI device sdf: drive cache: write back
    sdf: unknown partition table
    sd 4:0:0:1: Attached scsi disk sdf
    sd 4:0:0:1: Attached scsi generic sg5 type 0
    Vendor: IET Model: VIRTUAL-DISK Rev: 0001
    Type: Direct-Access ANSI SCSI revision: 05
    SCSI device sdg: 51697170 512-byte hdwr sectors (26469 MB)
    sdg: Write Protect is off
    sdg: Mode Sense: 79 00 00 08
    SCSI device sdg: drive cache: write back
    SCSI device sdg: 51697170 512-byte hdwr sectors (26469 MB)
    sdg: Write Protect is off
    sdg: Mode Sense: 79 00 00 08
    SCSI device sdg: drive cache: write back
    sdg: unknown partition table
    sd 4:0:0:2: Attached scsi disk sdg
    sd 4:0:0:2: Attached scsi generic sg6 type 0
    Vendor: IET Model: Controller Rev: 0001
    Type: RAID ANSI SCSI revision: 05
    scsi 5:0:0:0: Attached scsi generic sg7 type 12
    Vendor: IET Model: VIRTUAL-DISK Rev: 0001
    Type: Direct-Access ANSI SCSI revision: 05
    SCSI device sdh: 81920000 512-byte hdwr sectors (41943 MB)
    sdh: Write Protect is off
    sdh: Mode Sense: 79 00 00 08
    SCSI device sdh: drive cache: write back
    SCSI device sdh: 81920000 512-byte hdwr sectors (41943 MB)
    sdh: Write Protect is off
    sdh: Mode Sense: 79 00 00 08
    SCSI device sdh: drive cache: write back
    sdh: unknown partition table
    sd 5:0:0:1: Attached scsi disk sdh
    sd 5:0:0:1: Attached scsi generic sg8 type 0

  6. パーティション、ファイルシステムの作成
    これ以降はiSCSIであることを意識せずに、通常のディスクと同様にパーティションとファイルシステムを作成すれば、mountして使用することが出来ます。


以上で、RHEL, CentOS でのiSCSIイニシエーターの設定の説明は終わりです。

火曜日, 10月 27, 2009

Oracle VM 入門 (第1回、Oracle VM Serverのインストール)

[概要]
Oracle VM Serverのインストールについて説明します。
OVM 2.xについて説明しています。OVM 3.xについては、こちらをご覧ください。
[詳細]
OVMは、Xenをベースにしたoracle社が提供するフリーのType1ハイパーバイザ型の仮想化環境です。
エンタープライズ用途にフォーカスしており、Oracle社の製品が唯一サポートする仮想化環境でもあります。
2009/10/13にリリースされたOVM 2.2.0について、インストールから管理の基礎について、数回に分けて説明します。
まず、今回は仮想マシンを動作させるOVM Managerのインストールを説明します。
  1. OVMの入手
    oracle社のWEBサイト (http://linux.oracle.com/)にアクセスし、Oracle VM : DownloadからE-Deliveryのページに移ります。


    ユーザ登録を済ませると、1日から2日後に承認のメールが届きます。


    再度、WEBサイトにアクセスすると、ダウンロードのページに進むことが出来ます。

    最新のバージョンを選択し、ServerとManagerをダウンロードします。

  2. インストール媒体の準備
    ダウンロードしたOVM Serverのzipファイルを展開し、インストール媒体イメージをCDROMもしくはDVD±ROMの媒体へ書き込みます。書き込みについては、イメージを媒体に転記できるツールを使用してください。
  3. CDからのインストール
    作成したCDイメージを使用して、ホスト・マシンにOVMをインストールします。
    インストールの手順は、Red Hat系のディストリビューションと、ほぼ、同じです。

    1. インストールするホスト・マシンに、既に別のOSが入っている場合にはMBRを初期化します。MBRの初期化については、こちらを参照してください。
    2. 作成した媒体をCD/DVDドライブへ挿入し、ホスト・マシンの電源を入れます。
      なお、CD/DVDドライブから起動するように、あらかじめBIOSを設定しておいてください。
    3. Bootが終わるとインストールの開始画面になりしばらくすると、自動的にインストールが開始されます。

    4. 媒体のチェックをするかどうかに答えます。
    5. 使用するキーボードのレイアウトを選択します。
    6. パーティションの設定を行います。
      パーティション設定のタイプと使用するディスクを選択します。



      まず、パーティション設定のタイプを選択します。上から順に
      • 選択されたすべてのディスクを使用して、標準のレイアウトでパーティションを作成します。既存のパーティションは、すべて削除されます。
      • 選択されたディスのLinuxのパーティションだけを使用して、標準のレイアウトでパーティションを作成します。既存のLinuxパーティションは、すべて削除されます。
      • 選択されたディスクの空き領域を使用して、標準のレイアウトでパーティションを作成します。
      • 最小のレイアウトで、USBドライブにインストールを行います。
      • ユーザがパーティションのレイアウトを指定します。

      次に、使用するディスクを選択します。
      その後、パーティション削除の確認と、パーティションのレイアウトの確認の要不要に回答します。レイアウト確認に"Yes"で答えると、パーティションの設定ツールが起動し、レイアウトの変更が行えます。
      なお、バーチャルマシンの格納先は"/OVS"になります。Live Maigrationを行う場合には、"/OVS"を共有ディスクに配置し、"ocfs2"でフォーマットしてください。
    7. ブートローダーの設定を行います。
      ブートローダーを格納する場所を選択します。
      OSが認識するディスク順序を変更したい場合(異なるディスクのMBRを選択したい場合)は、"Change drive order"を選択し、ディスクの順序を変更します。

    8. 管理サーバとの通信に使用するネットワーク・アダプタを選択します。

    9. IPアドレス、ネットマスク、ホスト名などを、設定します。

    10. タイムゾーンの設定を行います。
    11. Oracle VM Agentのパスワードを設定します。
      Oracle VM Agentは、OVM ServerとOVM マネージャとの間の通信を行うエージェントです。
    12. rootのパスワードを設定します。
    13. インストール開始の確認に答えます。

    14. サーバのリブートを行います。

    15. "End User Lisence Agreement"に同意します。

    16. ログイン画面が表示されれば、インストールは完了です。


  4. 環境設定
    OVMを使用するための最小限の環境設定を行います。
    1. タイムゾーンの変更を行います。
      インストール直後のタイムゾーンは、アメリカ東海岸時間に設定されています。
      タイムゾーンの変更方法は、こちらを参照してください。
    2. OVM Serverを管理するためのユーザを追加します。
      [root@linux ~]# useradd -m ユーザ名
      [root@linux ~]# passwd ユーザ名
      Changing password for user ovmuser.
      New UNIX password:

必要に応じて、NTP、ssh、resolv.conf、/etc/hosts、などの設定を行ってください。設定方法は通常のLinuxと同じです。
これで、Oracle VM Serverを使用する準備が終わりました。次回からはOVM Mnagerでの管理ついて説明します。