土曜日, 11月 14, 2009

Oracle VM 入門 (第7回、テンプレートの管理)

[概要]
OVMでの仮想マシン・テンプレートの管理について説明しています。
OVM 2.xについて説明しています。OVM 3.xについては、こちらをご覧ください。

[詳細]
前回はISOイメージの管理について説明しました。今回は仮想マシンを作成するための雛形であるテンプレートの管理について説明します。
登録方法には、sshなどでUtility Serverにコピーしたイメージをコピーする方法、外部ソース(Webサーバやftpサーバ)からイメージをダウンロードする方法、P2Vユーティリティを使ったBear Metalマシンからの作成があります。
今回はOracle社から提供されるテンプレートを使って説明を行い、P2Vユーティリティとテンプレートの作成については回を改めて説明します。
まずは、テンプレートの入手方法から説明します。
  1. テンプレートの入手
    OVMを入手した時に利用したoracle社のWEBサイト (http://linux.oracle.com/)にアクセスし、Oracle VM : DownloadからE-Deliveryのページに移り、ログインしてください。



    "Select a Product Pack"で、"Oracle VM Templates"を選択し、必要なテンプレートをダウンロードしてください。



  2. サーバ・プールに存在するテンプレートの登録("Select from Server Pool")
    sshやnfsを経由してコピーしたテンプレートの登録を行います。
    これから、x86_64版Oracle Enterprise Linux 5 Update 3の半仮想化の仮想マシンのテンプレート"Oracle Enterprise Linux 5 Update 3 template - PV Small x86_64 (64 bit)"を、例に登録の説明を行います。

    1. Utility Serverへのコピー
      まず、ダウンロードしたテンプレートのファイルをにコピーし、ファイルを展開します。OVM Serverの標準では、sshとnfsがリモートのファイルを転送する手段として用意されています。ここでは、WindowsのPCからscpを用いてファイルを転送しています。
      なお、テンプレートは、Utility Serverの"/OVS/seed_pool/"の下に置くことが決められていますので、そこにテンプレートファイルをコピーします。

      E:\os_img\Windows2008>scp V16223-01.zip root@vm-host03:/OVS/seed_pool/
      root@vm-host03's password:
      V16223-01.zip 100% 2754MB 10.9MB/s 04:12

      E:\os_img\Windows2008>

    2. テンプレートファイルの展開
      コピーしたテンプレートファイルをUtility Serverで展開します。

      [root@vm-host03 ~]# cd /OVS/seed_pool/
      [root@vm-host03 ~]# unzip V16223-01.zip
      [root@vm-host03 ~]# tar xvz OVM_EL5U3_X86_64_PVM_4GB.tar.gz

      ディレクトリ名がテンプレート名となるので、変更したい場合にはディレクトリの名前を変更します。
      [root@vm-host03 ~]# [root@vm-host03 ~]# mv OVM_EL5U3_X86_64_PVM_4GB OEL5U3_PVM_64

    3. OVM Managerへの登録
      "Resource"タブ→"Templates"へ移動し"Import"を押します。


    4. コピー・ソースの選択
      "Select from Server Pool (Discover and register)"を選択し、"Next"で次に進みます。


    5. 情報の登録
      イメージの登録に必要な情報を選択または入力します。



      • Server Pool Name
        テンプレートをコピーしたUtility Serverの所属するサーバ・プールを選択します。(必須)
      • Virtual Machne Template Name
        登録するテンプレートつまり、作成されたディレクトリを選択します。(必須)
        今回の例では、"OEL5U3_PVM_64"というディレクトリを作成したので、"OEL5U3_PVM_64"を選択してください。
      • Operating System
        テンプレートのOSのタイプを選択します。(必須)
        今回の例では、"Oracle Enterprise Linux 5 64bit"になります。
      • Virtual Machine System Username
        サーバ・プール設定の際に設定したUtility Serverのユーザ名を入力します。(必須)
      • Virtual Machine System Password
        上記のユーザ名に対応したパスワードを入力します。(必須)
      • Description
        テンプレートのファイルの説明を記述します。(任意)
      すべて終了したら、"Next"で確認画面に進みます。
    6. 入力項目の確認
      入力確認項目の確認が終わったら"Confirm"を押し、登録を完了させます。


    7. テンプレートの承認
      イメージの登録が正常に終わると、"Pending"の状態になります。
      "Approve"を押してイメージの承認を行い、使用可能なステータス"Active"に変更する必要があります。

    以上でテンプレートの登録は完了です。
  3. 外部ソースからの登録("Download from External Source")
    テンプレートをHTTP,FTPを使用して、Utility Serverに登録します。

    1. ftp,webサーバへのテンプレートの登録
      ダウのロードしたテンプレートを、ftpや,webサーバに登録します。まず、V16223-01.zip を展開します。さらに、展開して出来たtar.gzファイルについても展開してください。

      [root@linux ~]# unzip V16223-01.zip
      [root@linux ~]# tar xvz OVM_EL5U3_X86_64_PVM_4GB.tar.gz

      展開したディレクトリは、ディレクトリ・ブラウズ出来るようにサーバの設定を行ってください。
    2. OVM Managerへの登録
      "Resource"タブを押すと"Virtual Machine Templates"に移動しますので、"Import"をおします。


    3. コピー・ソースの選択
      "Download from External Source (HTTP and FTP)"を選択し、"Next"で次に進みます。


    4. 情報の登録
      イメージの登録に必要な情報を選択または入力します。


      • Server Pool Name
        イメージをコピーするサーバ・プールを選択します。(必須)
      • Virtual Machne Template Name
        登録するテンプレート名を入力します。(必須)
      • Operating System
        テンプレートのOSのタイプを選択します。(必須)
        今回の例では、"Oracle Enterprise Linux 5 64bit"になります。
      • Virtual Machine System Username
        サーバ・プール設定の際に設定したUtility Serverのユーザ名を入力します。(必須)
      • Virtual Machine System Password
        上記のユーザ名に対応したパスワードを入力します。(必須)
      • Description
        テンプレートのファイルの説明を記述します。(任意)
      すべて終了したら、"Next"で、URLの入力画面に進みます。
    5. URLの入力

      テンプレートのURLを入力します。Proxyサーバを経由してのアクセスが必要な場合には、"Use Proxy"をチェックしProxyサーバのURLを入力します。


    6. 入力項目の確認
      入力確認項目の確認が終わったら"Confirm"を押し、登録を完了させます。



    7. テンプレートの承認
      イメージの登録が正常に終わると、"Pending"の状態になります。
      "Approve"を押してイメージの承認を行い、使用可能なステータス"Active"に変更する必要があります。

  4. ステータスと説明の変更
    テンプレートを選択し"Edit"を押すことで、ステータスと説明の変更が出来ます。ステータスは、"Active"と"Inactive"があり、"Inactive"にするとテンプレートをOVM Managerから一時的に利用できなくできます。テンプレートのメンテナンスを行うときなどに使用してください。
    同じページで、Descriptionに記載した説明を編集することも出来ます。
  5. ステータスの削除
    テンプレートの削除を行うときには、削除するテンプレートを選択して"Delete"を押します。すると、確認画面が表示され、そこでも"Delete"を押すと、テンプレートが削除されます。

以上でテンプレートの管理についての説明は終わりです。次回はよいよ仮想マシンの作成について説明します。

水曜日, 11月 11, 2009

Oracle VM 入門 (第6回、ISOイメージの管理)

[概要]
OVMでのISOイメージの管理について説明しています。
OVM 2.xについて説明しています。OVM 3.xについては、こちらをご覧ください。

[詳細]
今回は登録を中心にISOイメージの管理について説明します。
登録方法には、sshなどでUtility Serverにコピーしたイメージをコピーする方法と、外部ソース(Webサーバやftpサーバ)からイメージをダウンロードする方法があります。まずは、コピーしたイメージの登録方法から説明します。

  1. サーバ・プールに存在するイメージの登録("Select from Server Pool")
    sshやnfsを経由してコピーしたISOイメージの登録を行います。
    ISOイメージは、Utility Serverの"/OVS/iso_pool/"の"ISO Group"ディレクトリの下に置くが決められています。
    これからWindows2008 ServerのISOイメージ"Windows2008_X86_64.iso"を登録することを例にとって説明していきます。

    1. "ISO Group"ディレクトリの作成
      Utility Serverにログインし"ISO Group"ディレクトリの作成を作成します。"ISO Group"名には、Windows, Linux, hoge等、任意の名前を付けることが出来ます。実際には、"ISO Group"ディレクトリの作成とは"ISO Group"名のディレクトリを作ることです。今回は"Windows"という名前で作成します。

      [root@linux ~]# mkdir /OVS/iso_pool/Windows
      [root@linux ~]# chown 777 /OVS/iso_pool/Windows

    2. ISOイメージのリモートコピー
      ISOイメージをUtility Serverにコピーします。OVM Serverの標準では、sshとnfsがリモートのファイルを転送する手段として用意されています。ここでは、WindowsのPCからscpを用いてファイルを転送しています。

      E:\os_img\Windows2008>scp Windows2008_X86_64.iso root@vm-host03:/OVS/iso_pool/Windows/Windows2008_X86_64.iso
      root@vm-host03's password:
      Windows2008_X86_64.iso 100% 2754MB 10.9MB/s 04:12

      E:\os_img\Windows2008>

    3. OVM Managerへの登録
      "Resource"タブ→"ISO Files"へ移動し"Import"をおします。


    4. コピー・ソースの選択
      "Select from Server Pool (Discover and register)"を選択し、"Next"で次に進みます。


    5. 情報の登録
      イメージの登録に必要な情報を選択または入力します。


      • Server Pool Name
        イメージをコピーしたUtility Serverの所属するサーバ・プールを選択します。(必須)
      • ISO Group
        イメージをコピーしたディレクトリである"ISO Group"を選択します。(必須)
        今回の例では、"Windows"というディレクトリを作成したので、"Windows"を選択してください。
      • ISO Label
        ISO Labelは、イメージのファイル名から、拡張子と.(ピリオド)を削除した名前になります。(必須)
        今回の例では、"Windows2008_X86_64"となります。これを選択してください。
      • Description
        ISOファイルの説明を記述します。(任意)
      すべて終了したら、"Next"で確認画面に進みます。
    6. 入力項目の確認
      入力確認項目の確認が終わったら"Confirm"を押し、登録を完了させます。


    7. イメージの承認
      イメージの登録が正常に終わると、"Pending"の状態になります。
      "Approve"を押してイメージの承認を行い、使用可能なステータス"Active"に変更する必要があります。

  2. 外部ソースからの登録("Download from External Source")
    ISOイメージをHTTP,FTPを使用して、Utility Serverに登録します。

    1. OVM Managerからの登録
      "Resource"タブ→"ISO Files"へ移動し"Import"をおします。


    2. コピー・ソースの選択
      "Download from External Source (HTTP and FTP)"を選択し、"Next"で次に進みます。


    3. 情報の登録
      イメージの登録に必要な情報を選択または入力します。


      • Server Pool Name
        イメージをコピーするサーバ・プールを選択します。(必須)
      • ISO Group
        任意、もしくは、作成済みの"ISO Group"名を入力します。(必須)
        これにより、/OVS/iso_pool/"ISO Group"名ディレクトリが作成されます。
      • ISO Label
        ISO Labelを入力します。(必須)
        イメージは、"ISO Label.iso"というファイル名で保存されます。
        今回の例では、"Windows2008_X86_64"となります。これを選択してください。
      • URL
        イメージのURLを指定します。(必須)
      • Use Proxy
        イメージのアップロードをProxyサーバを介して行う場合はチェックします。(任意)
      • Proxy URL
        (Use Proxyを選択したときのみ必須)
      • Description
        ISOファイルの説明を記述します。(任意)
      すべて終了したら、"Next"で確認画面に進みます。
    4. 入力項目の確認
      入力確認項目の確認が終わったら"Confirm"を押し、登録を完了させます。


    5. イメージの承認
      イメージの登録が正常に終わると、"Pending"の状態になります。
      "Approve"を押してイメージの承認を行い、使用可能なステータス"Active"に変更する必要があります。

  3. ステータスと説明の変更
    イメージを選択し"Edit"を押すことでISOイメージのステータスと説明の変更が出来ます。ステータスは、"Active"と"Inactive"があり、"Inactive"にするとイメージをOVM Managerから一時的に利用できなくできます。イメージのメンテナンスを行うときなどに使用してください。
    同じページで、Descriptionに記載した説明を編集することも出来ます。
  4. イメージの削除
    イメージの削除を行うときには、削除するイメージを選択して"Delete"を押します。すると、確認画面が表示され、そこでも"Delete"を押すと、イメージが削除されます。

以上でISOイメージの管理についての説明は終わりです。次回はテンプレートの管理について説明します。

Oracle VM 入門 (第5回、リソースの管理)

[概要]
OVM ManagerからISOを使用した仮想マシンの作成について説明しています。
OVM 2.xについて説明しています。OVM 3.xについては、こちらをご覧ください。

[詳細]
OVM Managerからの仮想マシンの作成方法には、テンプレートを使用する方法、ISOイメージからインストールする方法、ネットワーク(PXE)ブートを使用した方法の3通りあります。
今回はISOイメージを使用する方法について説明します。

  1. 作成方法の選択
    まず、OVM Managerの"Virtual Masines"のタブを選択し、その画面で"Create Virtual Machine"を押すと、作成方法の選択画面に移ります。
    作成方法の選択画面では、"Create from installation media"を選択し、"Next"を押します。



  2. サーバ・プールとISOイメージの選択
    次の画面では、仮想マシンを作成するサーバ・プールを選択します。また、次の画面では、使用するISOイメージを選択します。



  3. 情報の登録
    仮想マシンに必要な情報の入力を行います。


    • Virtual Machine Name
      仮想マシン名を入力します。(必須)
    • Operating System
      作成する仮想マシンのOSを選択します。
    • Nimber of Virtula CPUs
      仮想マシンのCPUの数を指定します。(必須)
      CPUの数はパフォーマンスの観点から、OVM Serverに搭載されているCPUの総コア数以下にすることをお勧めします。
    • Keyboard Layout
      仮想マシンのキーボードの配列を指定します。(必須)
    • Memory Size
      仮想マシンのメモリ容量を指定します。(必須)
    • Virtual Disk Size
      仮想マシンに作成する1番目のディスクのサイズを指定します。(必須)
    • Console Password
      仮想マシンのコンソールにアクセスする際のパスワードを設定します。(必須)
    • Confirm Console Password
      コンソールのパスワードを確認のために再入力します。(必須)
    • High Availability
      高可用性の機能を有効にします。サーバ・プールの高可用性機能が有効になっていることが必要です。
    • Network Interface Card
      ネットワーク・カードの追加/削除と、ブリッジする物理ネットワーク・カードの選択を行います。"VIF0"は仮想マシンの"eth0"に、"VIF1"は仮想マシンの"eth1"に、といったように対応していきます。
  4. 仮想マシンの作成
    入力情報の確認を行った後"Confirm"を押して、仮想マシンの作成を行います。
    "Creating"のステータスの後、正常に仮想マシンが作成されると"Running"になります。


  5. コンソールの起動
    "Console"を押して、コンソールを起動します。
    "Password"には情報登録時に設定した"Console Password"を入力し、パスワードが正しければコンソール画面が表示されます。この後はコンソール画面を使って、通常のPCと同じようにOSのインストールを進めてください。


次回は、テンプレートイメージからのインストールについて説明します。

日曜日, 11月 08, 2009

Oracle VM 入門 (第4回、ユーザの管理)

[概要]
OVMにおけるユーザとグループについて説明しています。
OVM 2.xについて説明しています。OVM 3.xについては、こちらをご覧ください。

[詳細]
前回はサーバ・プールの概念と作成方法について説明しました。
今回は、OVMに対する操作の制限を行うユーザとグループの概念と設定方法について説明します。

  1. ユーザとRole(役割)
    OVMではユーザにRole(役割)を割り当てることによって、操作の制限を行います。
    Roleには"Administrator","Manager","User"の3つがあり、Role毎に出来る操作はそれぞれ次の表のようになっています。












    表:Roleと権限
    RoleUserManagerAdministrator
    仮想マシン管理
    リソース管理
    OVM Server管理×
    サーバ・プール管理×
    ユーザ管理××
    ※インポートのみ

    管理者は、これらのRoleを使い分けて、ユーザの管理を行います。


  2. ユーザの作成
    ユーザの作成は、OVM Managerを使用します。
    1. "Administration"のタブを選択します。


    2. "Create"を押しユーザの追加画面に移動。必要項目を記入します。


      ・プロパティ
      • Username
        ユーザ名を設定します。(必須)
      • Password
        パスワードを設定します。(必須)
      • Retype Password
        確認のためパスワードを再度入力します。(必須)
      • First Name
        ユーザの名前を入力します。(任意)
      • Last Name
        ユーザの苗字を入力します。(任意)
      • Email
        ユーザと連絡を取るためのe-mailアドレスを入力します。(必須)
      • Status
        アカウントの状態を指定します。(必須)
        "Unlock"はOVM Managerへのアクセスを許可します。"Lock"はOVM Managerへのアクセスを拒否します。
      • Role
        Roleを指定します。(必須)
      • Server Pool
        ユーザがアクセス可能なサーバ・プールを選択します。(任意:ただし、選択しないと既存のサーバ・プールにアクセスできません。)
      • Group
        ユーザが所属するグループを選択します。(任意)
    3. "Confirm"を押してユーザの作成を行います。

  3. グループと仮想マシン
    OVMの仮想マシンは、必ず1つのグループに所属します。デフォルトは、"My Workspace"というグループです。この"My Workspace"というグループは、"Administrator"権限のユーザと仮想マシンを作成したユーザしかアクセスすることが出来ません。
    そこで、複数のユーザで管理するためには、仮想マシンに他のグループを割り当てます。こうすることでグループに所属しているユーザが管理することができるようになります。
    なお、"My Workspace"以外のグループは、"Administrator"権限をもつユーザが作成します。それでは、グループを作成しましょう。
  4. グループの作成
    1. "Administration"タブ中からさらに"Group"タブを選択し、グループのの画面に移動します。


    2. "Create"を押しグループの追加画面に移動。必要項目を記入します。


      ・プロパティ
      • Group Name
        グループ名を入力します。(必須)
      • Description
        このグループについての説明を記入します。(任意)
      • User
        このグループに所属するユーザを選択します。(任意:ただし、Administrator権限を持つユーザを必ず1人は追加してください。)
    3. "Confirm"を押してユーザの作成を行います。

以上でユーザとグループの説明は終了です。次回はリソースについて説明します。